太田祐司は、「嘘」をテーマに様々な手法を用いて制作している作家である。時にはイタコという職能を用い、美術史上の著名な故人を降霊したイタコに新作の制作を依頼したり、またある時にはUMA(未確認生物)が写り込んだように見えるスナップ写真を捏造し、メディアを騒がせたりもする。物腰も柔らかく、とても親しみやすい人柄の一方で、時折り内に秘めた“毒”が垣間見えるのだが、それは特定の対象を傷つける類のものではなく、“毒”として存在することが社会にとって有用であるように働いて見えるのだ。太田が仕掛ける一連の作品は、人間という存在を支えるナショナリズムや宗教、経済などの社会構造自体が孕む虚構性を突きつけ、変化を嫌い未知のものを恐れる我々の目を見開かせる。本展では、宗教を伴う民族間の紛争を題材に北アイルランドで制作された日本未発表の作品『ウサギと野ウサギのダンス』と群馬県にあるとある洞窟にまつわる作品『世界最新の洞窟壁画』で構成される。太田の作品を通して、ナショナリズムや宗教といった物語の奴隷となるのではなく、押し寄せる情報の波に翻弄されることのないよう、それぞれが自分自身を見つめる契機となることを願っている。 酒井一吉(企画)
- 日程
- 時間
- 14:00~18:00
※土日のみ開場 - 料金
- 無料
- お問い合わせ
- アズマテイプロジェクト
info@kazuyoshi-sakai.com - 詳細情報URL
- https://azumateiproject.com
情報更新日:2022/5/9
会場情報
アズマテイプロジェクト
- 所在地
- 横浜市中区長者町7-112 伊勢佐木町センタービル3階
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