能を体験してきました ― 横浜能楽堂・2020/2/1(土)

レポート 体験する・つくる 古典芸能 学ぶ・知る 編集部のちょっとKeyになる!



気になる場所やアートイベントに行ってみたら、新しい発見があった!
そんな新しい扉を開く鍵=Keyになるかもしれない“気になる”を編集部スタッフが体験してきました。
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能や狂言といった日本の古典芸能を、観たことがあるという人はいても、体験したことがあるという人はそう多くないのでは。そんな「能」を体験でき、さらに能楽師自らが能楽堂内をガイドしてくださるという夢のような企画が横浜能楽堂で開催されるということで行ってきました!

|イベントデータ|
名称 能楽師が案内する横浜能楽堂見学と能楽ワークショップ
日時 2020年2月1日(土) 10:00~12:00
会場 横浜能楽堂
講師 梅若紀彰 (シテ方観世流)
主催 横浜能楽堂(公益財団法人横浜市芸術文化振興財団)

横浜能楽堂外観
横浜能楽堂は、JR・市営地下鉄 桜木町駅から徒歩15分、紅葉坂を上り県立音楽堂や青少年センター、県立図書館の遊歩道を通り抜けたところにあります。

能体験の会場は第二舞台です。 [写真提供:横浜能楽堂]

この回にご参加の方々は24人。能を普段からご覧になっている方、別の機会にお稽古をしたことがあるという方、能楽堂に来るのが初めての方など様々。

この日、午後と夜間にも同ワークショップが開かれ、1日で72名が参加されたそうです。

ご案内してくださる先生は、シテ方観世流能楽師 梅若紀彰(うめわかきしょう)師。

梅若六郎家の五十五世梅若六郎の孫として生まれ、初舞台は4歳だったそう。

「能は子どもから大人まで、誰でもできます!」と、凛々しくも温かい声で、参加者の気持ちを和ませます。

8~9人ずつ舞台に立って指導を受けます。

まずは、基本の立ち姿勢「カマエ」。足を閉じ、膝をかるく曲げ、重心を低くします。

立っているだけなのに、四方八方から引っ張られているような緊張感がありました。

先生曰く「能の究極は、動かない事。コマは高速回転している時こそ静止して見える。花は動かずに存在しているがそこに美しさがある」と。

次は歩く所作「ハコビ」です。

すり足といって、地面から足を離さず滑るように歩くのですが、これが難しい。カマエの姿勢、手の位置、重心移動など、全身に気を使います。

「見ていると簡単そうだけど、やると難しいでしょ!」と言いながらニコッと笑う先生。

参加者の動きに合せて先生が謡ってくださったのですが、その声に合せて進むと、なんだか上手になったようで、テンションが上がりました。

こちらは「サシコミ」です。
扇を持った右手をやや高く正面に出しながら前に進みます。

最後は「ヒラキ」です。

左足、右足、左足と三足(さんそく)後ろに下がりながら、両腕を横に広げる所作です。

能や狂言では、動き出すときは「左足」からと決まっているそう。左からが身についているので、先生は足袋を履くのも左足からだとか。

[写真提供:横浜能楽堂(撮影:神田佳明)]

約1時間のワークショップはあっという間に終わり、休憩の後は本舞台に集合しました。能楽堂内見学の前に、ここで仕舞を披露してくださるとのこと。贅沢すぎます。
[写真提供:横浜能楽堂(撮影:神田佳明)]

「海人」(あま) 玉ノ段 を披露。厳かな時間が流れます。
そして、曲が終わると「はい、じゃぁ、やってみましょうか!」と言って、参加者を笑わせます。

そして「能楽師が案内する横浜能楽堂見学」へと移ります。

「ここが楽屋でね、奥には焙じ室という火鉢が置いてある場所があって、大鼓の革を乾燥させるんですよ」などと、事細かに案内をして回ってくれました。

(焙じ室については横浜能楽堂のブログでも紹介されています。)

「鏡ノ間」いわゆる舞台袖には、ご自身が持参した面(おもて)が用意されていました。
実際に使用しているという大事な面を、参加者全員の顔にあててくださる丁寧さ。

舞台へ続く揚幕は、2本の竿を手でグッと持ち上げます。こうやって幕揚げを舞台袖から見る機会なんて、そうないですよね。
いざ本舞台へ!

舞台上では「ここが橋がかり」、「ここは後座といってお囃子方が座る場所」などと、実際にその場に立ちながら説明が聞けるので、広さや距離感を実感できます。

ここで質問をよびかけると、
―ドンと足で踏む“足拍子”はどんな意味があるのですか?
―どこの客席から見るのが好きですか?
などと、参加者から声が上がります。

この小さな扉は地謡や後見の方々が使用する切戸口(きりどぐち)。
最後はここを通って舞台から降りることもできました。


印象的だったのは、先生も参加者と一緒に楽しんでいたこと。
時々ユーモアを交えながら、終始明るい表情で進めてくださり、和やかな雰囲気の中、能や能楽堂の魅力を存分に“体感”した2時間でした。


横浜能楽堂では、未経験者を対象に『初めての能楽教室』を開講しています。10回のレッスンでだいぶ上手になって能の世界にはまる人も多いようです。先生はこの『初めての能楽教室』でも「謡 仕舞教室」の講師をつとめます。最後には発表会もあるようですよ。
興味のある方は、参加してみては。応募締切は2020年3月26日17時まで!


今年は、東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されることもあり、世界中の人々が日本の伝統や文化を知り、触れる機会も多いでしょう。日本人の私たちも、本物を見て・体験して・感じる機会を大切にしたいものです。

取材・文・写真:ヨコハマ・アートナビ編集部

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