アートスポット巡り~緞帳に込められた地域の歴史や人々の想い~

アートスポット

舞台が閉まっている時に凛と美しく存在する緞帳。

開演までのワクワク感を高めたり、人によっては心を落ち着かせたり、そんな時間に目の前にある緞帳。

 

この緞帳たちには、その地域の歴史やそこに住む人々の想いが込められていました。

 


 

●未来への波動-梅と海に込められた地域の思い

  磯子区民文化センター杉田劇場(JR根岸線・シーサイドライン 新杉田駅)


平成17年に新杉田駅前に開館した磯子区民文化センター 杉田劇場。

ホール、リハーサル室、ギャラリー、練習室などの施設があり、普段は地元の方々をはじめ多くの利用者で賑わっています。

杉田劇場のホールの緞帳です。「未来への波動」というテーマで描かれました。


磯子区の木である白い梅、華やかなピンクと紫のコスモスは磯子区の花、そして、区に隣接した海が華やかに描かれています。

とても明るい印象で、開演に向けてのワクワク感が高まりそうですね。
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新杉田駅前の商業施設の中に位置する現在の杉田劇場ですが、昭和21年から25年当時、現劇場から南におよそ200mほどいった場所に杉田劇場(以降、旧杉田劇場)がありました。

幼少期の美空ひばりさんが、この舞台に立ったことでも有名です。

こちらは旧杉田劇場の舞台幕。地元の有志により寄贈されたものとのこと。


この舞台幕は、当時浜中学校の美術教諭として赴任した間邊典夫さんによってデザインされました。「杉田らしい舞台幕」にという思いから、杉田のシンボルである梅(杉田梅)や海などがモチーフに描かれています。
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旧杉田劇場の真裏は、すぐに海だったそうです。この幕にも描かれているように、ウミネコが劇場の近くにまで飛んできていたのでしょう。
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スポンサーとして載せられている商店の中には、現在も営業しているお店もあるそうです。

 

旧杉田劇場の歴史や美空ひばりさんに関する情報は、杉田劇場のホームページ「杉田劇場の歴史」で詳しく紹介されていますので、ぜひこちらもご覧ください。


≫磯子区民文化センター 杉田劇場 https://artnavi.yokohama/art-spot/2497/

 

 

●陽に萌ゆる丘-鶴見川の流れや咲き乱れる花々

  港北公会堂(東急東横線 大倉山駅)


港北公会堂は昭和53年に開館。その当時から設置されている緞帳には「陽に萌ゆる丘」というタイトルがついています。
「型絵染」の無形文化財保持者(人間国宝)である芹沢銈介氏がデザインし、京都の川島織物が織り上げたものです。

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芹沢氏は、江戸時代(享和3年)に描かれたという「鶴見川流域絵図」にインスピレーションを得て、鶴見川の流れや咲き乱れる花々を鮮やかな色合いで表現しました。
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「太くたくましい川の流れは燦々とふりそそぐ陽の光に色を変えて輝き、豊かな土壌はこの地に美しい花を咲かせ続け、飛躍する港北区の未来を象徴したものである」
(芹沢氏による下絵の解説の一部/港北公会堂落成記念式典次第より)
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平成27年秋には、初めて緞帳のクリーニング及び補修が行われました。
文化的にも貴重な緞帳は大切に維持、管理されていることが伺えます。

 

≫港北公会堂 https://artnavi.yokohama/art-spot/697/
[講堂の天井脱落対策⼯事のため、令和3年3月31日まで(予定)休館しています]


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●東海道五十三次 保土ケ谷宿

  保土ケ谷公会堂(相鉄線 星川駅)


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昭和57年4月に開館した保土ケ谷公会堂。

緞帳を見た時「さすが保土ケ谷!」と第一印象で思いました。この浮世絵は、歌川広重(初代)作の「東海道五十三次」のうち「保土ケ谷宿」です。帷子川にかかる新町橋を、旅人やかごが往来する様子が描かれています。
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この新町橋は後に帷子橋と呼ばれるようになりました。保土ケ谷宿は現在でいうと、ちょうど相鉄線の天王町駅のあたり。駅前公園には旧帷子橋を再現したモニュメントがあり、記念碑も建てられています。
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帷子川のそばに建つ保土ケ谷公会堂ならではのこの緞帳は、開館当時から地域の方々にも親しまれているそうです。

 

≫保土ケ谷公会堂 https://artnavi.yokohama/art-spot/1568/

 

 

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緞帳に注目してみたら、その土地ならではの歴史や地域の方々の想いにたどり着きました。

今回は緞帳を紹介しましたが、ホールや劇場の施設内には絵画や彫刻などといったアート作品や、地域の歴史を紹介する展示があることも。
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通い慣れた会場でも、少し立ち止まって見まわしてみると、そんな新しい発見との出会いがあるかもしれません。
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今はしばしの幕間ですが、この幕が再び上がり、ホールや美術館など芸術文化を訪れる楽しみが皆さまの日常に一日でも早く戻ることを願っています。

 


文:ヨコハマ・アートナビ編集部

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